2015年12月4日金曜日

【作家紹介/展覧会レビュー】吳竟銍(Wu Ching-Chih)個展

                             
微觀下的森林首飾裝置個展@CC Gallery 藝文空間

イタリア・アメリカ・日本など国際的なクラフト・コンペで活躍し、コンテンポラリージュエリーの世界でも注目されている金工作家・吳竟銍の個展が「CC Gallery」(http://ccgallerytw.com/
新北市樹林區學勤路398號)で行われました。
日本・伊丹市国際クラフト展で「ジュエリー部門」「酒器部門」と例年入賞し、とくに「雨滴」をイメージした盃では、圧倒的な自由さと精巧さをみせて審査員を驚かせた台湾の作家の、自身の手がけるギャラリーでの初の個展となりました。
筆者が日本では見たことがなく、台湾ではあるモノのひとつに「枯れ芽吹く木」というものがあります。日本ではただ「枯れた木」なのですが、南国・台湾では違います。そこにエネルギーがみなぎって、また新しい葉や茎が太陽に向ってのびている「枯れた樹」です。
風の凪いだ日には可憐な美しさをみせる自然。それが、ひとたび荒ぶれば人間を痛めつけることを、わたし達は知っています。
そして、そんなエネルギーを秘めているからこそうつくしいということも。
吳竟銍はここ台湾で、それを捉えながら作品を作っている作家といえるでしょう。
幼いころから花の形や色の美しさに引き込まれて、そこから広げていったモチーフは「自然のもつ形態」。
水の波紋や植物の細胞、昆虫の羽といった有機的なラインが、銀や銅といった金属で形作られたのちに、中国の伝統的な技法である琺榔(エナメル/七宝)で彩られています。それは、自然の草木から取られた色素で染められた布のような色をしています。
皿まわしが幾重にも広がったような作品は、近づけば苔の森のような小宇宙、そして遠ざかれば大森林、と見え方の変わってくる作品。これを観て思い出したのは、北宋時代の水墨画でした。
近く、遠く、自分の望遠レンズの調節しだいで大きな世界を自在に往き来できるダイナミズム。
近視眼的になりがちな忙しい暮らしのなかで、羽虫にも宇宙人にもなれるじぶんの「想像」という望遠レンズのありかを教えてくれる、吳竟銍の作品はそんな存在かもしれません。
(2015 .9.17)

0 件のコメント:

コメントを投稿