2016年12月3日土曜日

【シェア歓迎】日本映画における、字幕上映について



【日本映画の製作・配給・興行に関係される皆さま、そして映画館で日本映画を楽しんでいる皆さまへ。】

質問です。
日本で上映される海外の映画には、当然ながら日本語字幕がついています。でも日本映画には字幕が付きません。
日本映画に日本語字幕がつく。
それって、そんなに嫌なコトなんでしょうか?

嫌か、と問われてピンと来ないかも知れません。
でも、立川のシネコンを運営されている方に言わせれば、
「なぜ上映館や上映日数・回数が増えないのか? 答えは、お客さんががっつり減ってしまうから」だそうです。それぐらい、意識的に「字幕」を避けている方は多いようです。なので普段、日本映画の映画館上映で「字幕上映」は殆ど広まっていません。

わたしは台湾に住み、毎週のように台湾映画を観ています。
台湾では、テレビや映画など全ての映像に公用語(北京官話)の字幕がつけられ放映されます。台湾には、中国語(北京官話)・台湾語・客家語など多言語スピーカーが暮らしており、台湾映画にも多様な言語が使用されているためです。
でも思えば、聴覚に障碍(しょうがい)のある方をはじめ高齢者や外国人にもとても優しいシステムだと思います。中国語しか解せない上にリスニングが苦手な私でも、字幕を通せば十分意味を理解できるからです。

だから、大学時代の友人がSNSで以前からボヤいていた「観たい日本映画をいつもあきらめてる」という投稿がずっと、心に引っかかってきました。
彼女は生まれつきの聴覚障碍者です。そして面白いこと、新しいことが大好きです。働いて結婚し、仕事に家庭にと忙しい毎日を送っています。
最近、FBで彼女の「”この世界の片隅に”という作品が素晴らしいと聞いた、だけど字幕上映が期間限定で、予定をすり合わせるのも難しい」という書き込みをみて、ハッとしました。
字幕付きの映画上映は少しずつ広まりはしています。しかし現状は、良くても地域に一館だけ、しかも公開から一週間以上おそく、数日間の期間限定。
これまで観たいとおもう日本映画があっても、仕事や家庭の都合で逃してしまい、そんな経験を重ねるうちに「どうせ皆と同じように楽しめないのだから」「日本映画への興味をなるべく持たないようにしてきた」と友人はいいます。

今年2016年は、アニメーションも含めて、話題にのぼる日本映画がたくさん登場した年でした。
「恋人たち」「怒り」「ロクヨン」「シンゴジラ」「君の名は。」「永い言い訳」「湯を沸かすほどの熱い愛」「この世界の片隅に」「FAKE」・・・などなど。しかし、字幕付で上映されたのはほんの一部の映画および映画館・上映期間だけです。正直、もったいないなーって思います。

日本で、邦画に字幕をつけようという運動は2000年代にはいって始まったようです。キャストの一人が聴覚障碍の設定だった2006年の映画「バベル」を、聴覚障碍の方も「字幕付きで映画をみたい」という運動も盛り上がりました。
また、映像のバリアフリーに関して研究を重ねながら着実に実績を積み上げている団体もあり、それを後押しする法律も近年施行されています。
たしかに、状況は少しずつ、しかし確実に前進しています。字幕にかぎらず、「UDCAST」というメガネ型ディスプレイ、こちらは聴覚障碍に限らず視覚障碍にも対応するものとして少しずつ広まっているようです。こちらも、これからの展開を多いに期待させる技術ではありますが、機器が必要なため、全国津々浦々に広まるには時間がかかりそうです。

これまで何の障碍も感じずに映画を享受してきた私たちは、そういう「多様な映画館のありかた」について思いを巡らしたことはあったでしょうか?
昔なら、ひとつずつフィルムに字幕を焼きつけなければならなかった字幕。
しかし今はデジタルなので、いちど字幕さえつければ、全国の何百という映画館で字幕付の上映が可能になります。
また、聴覚障碍の有る方のほかに、高齢化社会のなか加齢により耳が聴こえづらくなった方や、ある程度日本語の読み書きできる外国人(映画のセリフって超早口や方言もあり、日本人でさえ理解しづらい場面もありえます)など、日本映画コンテンツを広めるという角度からみても潜在的需要は大きいように思います。
一方で、字幕自体の内容やタイミングなど、クオリティーをあげていく工夫も必要になるでしょう。

家でDVDを観るのとはちがう、見ず知らずの誰かと同じ空間で映画を味わえる映画館。
大好きな映画館が、より多様性をもち、様々な立場のひとがいっしょに楽しめる場所になっていけるよう、日本映画の「字幕付き上映」が増えることを希望します。


※追記1:日本語に字幕がつくこと、それ自体がまだ周知に遠いと思われ、この文章にまとめました。ご賛同頂ける場合は、シェアして頂けると嬉しいです。


※追記2: 同じ文章をFBに挙げたところ、俳優の永瀬正敏さんの所属事務所である「ロケット・パンチ」社長・岡野さんより、長年映画業界に関わっている方からの視点として、丁寧なメッセージを頂戴しました。
また更に、来年公開予定の河瀨直美監督の新作で、永瀬正敏さん主演の映画「光」では、まさにこの映像バリアフリー自体に焦点が当てられた作品になるという情報もいただきました。
この作品に関して、また岡野さんよりいただいた「字幕上映」の考察については、また後日ご紹介したいと思います。



 【参考リンク】

映像コンテンツを分け隔てなく提供するのを目指すNPO
http://npo-masc.org/

経産省の映画上映に関するバリアフリー事業の調査報告
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000144.pdf

日本・立川にある、積極的に字幕つきを進めているシネコン・スタッフによる記事
http://realsound.jp/movie/2016/09/post-2789.html

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