2017年12月9日土曜日

【展覧会情報】Yoga 日本近代洋画大展@北師美術館 ~2018/1/7


台湾をはじめ、朝鮮や満州などの「外地」の美術の流れを抜きにして、日本の近代美術史を語ることはできない。しかし、この70年間に日本近代美術史で台湾の位置付けはいまだになされていない。理由の1つは、引き揚げ時の荷物制限から、戦前の台湾で評価された作品が残されていないことが挙げられる。しかしもう1つ、画壇という名の日本人社会が、「湾生」という存在、ひいては台湾から目を背け続けたことに、原因があるのではないかと考えた。
(麗しき故郷、台湾——湾生画家・立石鉄臣を巡って/栖来ひかり)
https://www.nippon.com/ja/column/g00421/


これは、以前ニッポン・ドット・コムで書かせていただいた立石鉄臣についての論考ですが、「台湾と日本近代美術」という事柄について、とても大きな意味のある展覧会が、いま北師美術館(台北教育大学付設の美術館)で行われています。展覧会タイトルは「Yoga 日本近代洋画大展」。

2014年に東京芸大の大学美術館で行われた「台湾近代美術:留学生たちの青春群像」に引き続き、北師美術館と東京芸大大学美術館がタッグを組んで行われている展覧会ですが、この展覧会すごい!
おそらく日本の近代美術絵画がこんなにもまとめて台湾で観られることは、初めてなのではないでしょうか。

陳澄波ら台湾の画家たちの師匠にあたる梅原龍三郎や藤島武二、黒田清輝、安井曾太郎などの作品を中心に、台湾美術教育に大きな貢献をした石川欽一郎の90年ぶりに発見された幻の油絵作品、日本人に近年人気のある藤田嗣治(レオナルドフジタ)など、90点を越える作品が、日本各地の美術館やコレクターの元から一堂に会し、とっても見応えがあります。

もともと日本の近代美術絵画とは、西洋で生まれた「洋画」の上で、いかにして西洋の模倣を越えた「日本人」としてのアイデンティティーを確立するかという闘いでもありました。例えば今回の展覧会ポスターにも使われた和田栄作の「野遊」は、イタリアルネサンスのボティッチェリ「プリマヴェーラ」やルノワールなどを彷彿とさせながら、日本飛鳥時代の服装や藤の花など日本的な要素を入れて換骨奪胎されています。

そうした日本人画家の帰属意識は、教え子である台湾人の作家たちに同じく「日本人ではない、台湾人としての表現」を考えさせることに繋がり、植民地下での台湾人アイデンティティーを芽生えさせ、台湾人美術家による台陽美術協会の設立につながって行きます。
また梅原に「紫禁城シリーズ」などを描かせたひとつの「大東亜アイデンティティー」を考える試みは、同時に日本が東アジアを侵略した帝国主義の裏返しでもあったといえるかもしれません。

日本の近代美術を通して展開された「西洋ー日本ー台湾ー東アジア」についての試行錯誤。それを俯瞰してみることの出来る展覧会が、台湾で行われるということに非常な意義深さを感じます。

会期は1月17日まで。
ぜひとも、在台の皆さんには足を運んでいただきたい展覧会です。

https://montue2011.wixsite.com/yoga

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