2018年4月21日土曜日

【日台合作映画】盛情款待~おもてなしの、おもてなし的こころ


日台合作映画『おもてなし(盛情款待)』
/陳鈺杰監督/2018

推薦電影《盛情款待》。

先行上映された日本での評判がイマイチだったので、実は余り期待していなかったけれど、なんのなんの、心意気のあるいい映画じゃないですか!

「日本の礼儀作法は型にはまって堅苦しい」というイメージを逆手に取って、日本を代表する映画監督のひとり・小津安二郎監督のスタイルに敢えてはめ込むことで、登場する日本人と台湾人の心の交流を自然に描き出している。人と人との優しいふれあいは一瞬で、雪のように後には何の形も残さないかもしれないが、ひとつひとつの美しい記憶は死ぬまで心の底に散りつもる。そして思い出の後ろには、その時々の誰かの「おもてなしの心」が潜んでいる。


田中麗奈(中国語よくがんばった!)と王伯傑がお互い、礼儀に粗忽な若者という立場から徐々に「おもてなしの心」を発見し成長していくのがいい。
ここで丁寧に描かれているのは、「おもてなし」とか「和の心」というのは、日本人だから自然に身に着けているものではなく、どこの国で生まれたに関わらず、学び身に着けていくことの出来る「相手を尊重することで生まれる気遣い」という理解だ。
これは監督をはじめ台湾側の制作者が、「おもてなしとは何か」を一所懸命に考え、「台湾と日本がいっしょにモノを作る意義」に真摯に取り組んだことから生まれた解釈にちがいなく、その素直で真摯な気持ちに触れて、ここ連日の日本のニュースやSNSを観て荒んでいた気持ちが洗われるようだった。

それぞれの国に、それぞれの「おもてなし」の形がある。
その形に見合った型を身に付ければ心を自在に遊ばせられ、人に寄り添う気遣いが生まれるが、そこに心が伴っていかなければ文字通り「かたなし」なのである。とくに日本の場合は、四季に彩られた自然との対話のなかで、積み重ねられ変化してきた繊細さが身上だが、その脈絡が身近ではない外国人には、時に理解しがたいことも多いに違いない。
それを物語の借景にすることで、単なるインバウンド宣伝映画に終わらず、日台映画合作のこれからのポテンシャルを感じさせるものになっているが、日本の観客の感想をネットで探すと「おもてなしが何かが結局よく分からないままだった」というのが結構みられたのは興味深い。
ビジネス書的、商業的な手垢が付きすぎた「おもてなし」という言葉、東京オリンピックに向けて日本の名物と自負しているようだが、その前にもう一度、日本人自身が素直に「おもてなしって結局なんなんだ?」と思い返してみる時かもしれない。

それにしても、香川京子はやっぱりチャーミングだなあ。監督の小津愛が色んな場所に透けて見えた。
以上、日本でのこの映画に対する評価とかなり開きがあるので、つまりわたしの見方が台湾化しているだけなのかもしれないが、日台米の国交断絶などの歴史も背景に考えると切なく響く演出も多い。台湾の方には共感をよぶ作品だろう。

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