2018年6月23日土曜日

【台湾映画】只有大海知道~海だけが知っている



蘭嶼を舞台に、そこで暮らす原住民タオ族の生活をテーマに撮られた映画『只有大海知道』を観に行った。

監督は台東沖の蘭嶼という島に暮らすタオ族の子供たちが、タオ族伝統の民族衣装「ふんどし」を嫌がったのを観て、映画を撮ることを決意したという。
台湾原住民の抱える問題(貧困・親子の扶養)を描く意味では『只要我長大』に比べて脚本などもっと練られたらよかったのにと惜しい部分も多いが、個人的には最近とくに興味を持っている「海洋文化」を感じられたのが面白かった。

タオ族の男たちの勇壮な踊りはそのまま北海道民謡の「ソーラン節」だし(歌詞も実際に『ソーラン ソーラン』と唄う)、ふんどしの締め方も日本と同じだ。長い髪を前後に振る女性の踊りも、アイヌ民族の女性による「黒髪の舞」を彷彿とさせるのは、黒潮→対馬海流による海の道によって、古くから南洋諸島と日本のあいだで文化が行き来してきたことを感じさせる。


フィリピンバタン諸島から渡ってきたと言われるタオ族は、台湾原住民の中でも首狩りをしないので(アミ族も)、古くから他の民族との往来や貿易も盛んだったのではないだろうか。4千年前に台湾で最初に文明が栄えた場所は台東だったと言われるが、その中でも蘭嶼は黒潮の真上にあり、世界の海洋交通におけるハブ的な場所で、かつての海洋文化の中心だったかもしれず、それがタオ族に脈々と伝わる文化の誇りとして生き続けてきたんだとおもう。
近代になって国や国境が出現したことにより、世界の中心だった蘭嶼は今や、台湾の東端っこの貧しい田舎の孤島で、放射能汚染廃棄問題も抱え、子供たちは民族文化の誇りを失いかけているのは、なんという皮肉だろう。

蘭嶼の海洋文学者、シャマン・ラポガンさんの著作は日本語にいくつも翻訳されているので、この夏の帰国の際には色々読んでみたいと思います。ちなみに、第11代台湾総督の上山満之進が画家の陳澄波に依頼した作品「東台湾臨海道路」の額縁も、蘭嶼タオ族の船の木材を使い、タオ族伝統の文様が彫り込まれています。

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